コミュニティの運営に関わっていると人間同士の関わりがどのように広がるのかという問題に関心が高まります。そこにメカニズムのようなものがあれば、制御することが可能だからです。

ソサエティのような目的を共有して集まる集団では、素人では手に負えない問題を扱うことが多く、専門家の知恵を借りるようになることになりますが、問題解決に対しては非常に効率的です。

しかし、特定の目的は出会いを限定するというデメリットを持ちます。集団が必要とする関わりは、援助可能な能力を持つ専門家に限定されるからです。限定された出会いは変化に乏しく集団もまた専門化していくことでしょう。

それに対してプチコミュニティの場合はほとんどの参加者は専門家ではありません。むしろ何かの知識に対する欲求があるから、そこに集まってくれるのです。ソサエティのように効率的な集団を目指せないのです。

だからといって、プチコミュニティに問題解決の方法はないのかといえば、決してないと言い切れないのです。コミュニティ参加者の知り合いに専門家がいる可能性が意外と高いからです。

近所の商店店主の前職が専門職だった。参加者の親戚に専門家がいたなどということは頻繁に経験するでしょう。個人的なコミュニティ参加者のいとこが有名な研究所で知りたい研究をしていたという経験が私にもあります。

関わりの広がりは予測不可能なのは潜在しているからです。普段の生活の中で特定の問題意識がありませんから、自分の知り合いがなにをしているか、どんな人がいるのかなどと考える機会はないものです。

そのような潜在している人のつながりがコミュニティでの交流で浮かび上がってきます。周囲にいる人とのさまざまな自然な会話がよい刺激になることはよく知られています。

プチコミュニティでは、お互いに一定の信頼関係を築くことを前提に集まりますから、日常的に付き合っている家族や近所とは違う人たちとの会話が自然に発生します。

プチコミュニティ同士の交流が生れることは、ある意味自然な成り行きかも知れません。プチコミュニティに参加している人たちが、1つのプチコミュニティにしか所属していないとは考えにくいでしょう。

複数のプチコミュニティに参加していたり、他のプチコミュニティにお友達が参加しているなど、関係は不定でも必ず何かの関わりを持っているようです。

中には、多くのコミュニティに参加することを趣味にしている方もいらっしゃいます。そのような人たちを通じて、他のコミュニティと交流が始まる機会が生まれてきます。

プチコミュニティの参加者はお互いが何かの共通性でつながっています。ある集団は活動地域が共通であり、別の場合は趣味が共通していたりします。そのような地域性や属性の異なるプチコミュニティがつながることでさらにコミュニティが広がります。

プチコミュニティの活動はこのような意外な出会いが生れる機会を演出します。別のコミュニティはまったく異なった人たちが構成していることは意外性の高い魅力です。

プチコミュニティの収穫はこのように意外な出会いからもたらされます。個人的な問題解決のチャンスやノウハウに直接出会うこともあるでしょうし、人のつながりから、それらを得ることもあるのです。

人間の関わりの面白さだと、ある人は言うに違いありません。現代社会で忘れ去られようとしている、人間のおもしろさのひとつがプチコミュニティにはあります。そして失われつつあるからこそ、それは大きな魅力として再発見されているのではないでしょうか。